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SHELLY DRUG is glorious.

「チミのデキのいいオツムなら一生賭けてもシェリィドラッグは理解出来ん」

  • 2025/01/06 Monday

恐怖は刻まれる

パパ様の隣に立ったわたしの背はパパ様を抜かんとしていた。
(但しわたしはスリッパを履いているものとする)
(潔癖症やき……ユルチテ……)

パパ様は巨漢であった。体重は100kg以上あったと思うし靴のサイズも29とかだった。身長は良く知らんけど180とか190なんじゃないかな。わたしには到底敵わない力を持った男性だった。その力を脅しにしか使わない人だ。
大腸癌で大腸を切除し、骨折と老化で丸くひしゃげた背筋は最早わたしと視線の高さしか変わらなくなっている。体重はあっという間に落ちて筋肉もなくなり力も随分と弱くなった。鶏皮みたいな体で不平不満を垂れ流し、弱いものへは圧をかけ強いものには偏屈になるクソジジイである。その癖孫は居ないものだから気分だけはいつまでも若いらしく同年代を爺婆呼ばわりをする。

力でわたしは彼に圧倒するだろうけれど、わたしは彼が生きている間に彼に関する平穏は訪れないことを知っている。死んでもおそらくは訪れないだろう。もうこれは呪いである。顔を合わせなくても、一人暮らしをしていても、彼に対する恐れはずっと心にあるし、夜に飛び起きてパニックになることもある。
例え力で復讐をしてもこのおそろしさは変わらない。わたしはずっとずっと彼が怖い、おそろしい。ほぼハゲに近い白髪で背中のひしゃげた指で押せばすぐに骨にぶち当たるような男に対してわたしはずっと恐怖を抱き続けるのだ。

なぜかって、救われなかった人ってのはこんなもんだよ。
そしてそれは、「運が悪かった」としか言われないからね。
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